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独学で苦しまない、5つのコツ

1 覚えようとしない

よく聞くのが、なかなか覚えられないという声だ。とくにプログラミング系の学習でよく言われる。

覚えようという呪縛が強い。プログラミングは暗記をする必要がない。もし、暗記をしても、プログラムを書けるようにはならない。

必要になったら、調べなおせばよいくらいに考えよう。

2 満遍なく勉強する必要はない

前もって、すべてを準備する必要がない。

必要になったら、その部分を勉強すればよい。

例えば、PHPであれば、最低限の関数でいろいろ作ることができる。入門書を選ぶ時も、題材を絞った本を選ぶとよい。

PHP入門 確認画面付きのお問い合わせフォームをつくりながらPHPを学ぶ』は、お問い合わせフォームだけに題材をしぼったPHPの入門書。登場する文法も最小限だ。

いちばんやさしいPHPの教本 人気講師が教える実践Webプログラミング』はデータベースのCRUD操作(データの挿入、読み出し、更新、削除)のみにフォーカスしたPHPの入門書。学ぶPHPの文法は最小限である。

PHPの勉強で、演算子のところですべての演算子を理解しようとする人がいた。ほとんど、実践で使わない演算子がある。演算子はまずはざっと眺めて、実際のコードを読むときに必要だったら調べればよいのである。

勉強はPHPの研究家になることが目的ではない。ある程度、開発経験をつんだら、知識の整理のために『プログラミングPHP』のような包括的な本を読むことは意味がある。これはある程度作ったあとに読んだほうがいい。

3 限られたインプットでアウトプットしよう

Photoshopであれば、マスクだけいろんなマスクが存在する。クイックマスク、レイヤーマスク、ベクトルマスクなど。一つのことを達成するのに、複数のやり方が存在する。この多様性がPhotoshopの習得を難しくさせている。

これらをすべてを理解しないと、作品がつくれないわけではない。

例えば、レイヤーマスクだけで、いろいろコラージュ作品を作ってみる。最終的には、いろんなやり方を知っておいた方がよいのだが、最初のうちは、限定された機能、範囲で、多くのアウトプットをする癖をつけておこう。勉強自体が目的にならないように注意したい。

4 本は最初から最後までをすべてを読む必要はない

プログラミングの本によくあるのが、突然、ある章から難しくなり、ついてゆけなくなったというパターンである。そこで、自信を失い、やめてしまう人が多い。まず、本は最初から最後までをすべてを理解する必要はない。

本は、最後まで読まなくてはいけないという呪縛を捨てることが大事である。

5 万能型のクリエイターを目指さない

20代の頃を振り返ると、映像制作、プログラミング、DTP、写真とやみくもに勉強していた。休日は、映像の勉強のために映画を3本はみた。

プログラミングは特にはまった。Perl、ActionScript、C、Java、C++、Rubyを勉強した。

完全になろうとすると、勉強は苦しくなる

当時は、何でもできると信じながら勉強していた。たまたま、知り合いのクリエイターで万能型の人がいた。映像、プログラミング、写真、作曲のすべてを高いレベルでこなす。

もう1人、デザインとプログラミングの両方をこなす先輩がいた。

その二人の影響もあり、20代はひたすら分野を問わず、勉強をしていた。

本も手当たり次第買っていた。

30代中盤をすぎて、多くを断念し、欠点を埋めることを断念した。

人には、向き不向きがある。本当にできる分野は限られていることがわかってきた。

筆者のようなフリーランスだと若いうちは、何でも1人でやろうとかかえこんでしまう人が多い。完全になろうとすると、勉強は苦しくなる。

ほとんどの人は、万能型のクリエイターになることはできない。

真似をする前に、ベースのスキルは何かを見極めよう

ざっくり言うと、プログラミングとデザインのスキルは反比例するか、両方を追求すると中途半端な結果になることが多い。

インタラクティブデザインで有名な中村勇吾さんは、装飾的なリッチなUIは作らない。氏のつくるUIはミニマルものばかりである。Web標準が流行った時、氏は通常のHTML、CSSのサイトは一切つくらなかった。

Web制作のメインストリームから離れて、氏の専門ベースである建築、土木の構造計算を活かしたインタラクティブデザインに特化していた。

一方で、氏の表面的なスタイルを真似をしたクリエイターは、ほとんどが中途半端な結果におわっている。インタラクティブデザインの世界には憧れる。でも、生き残れるのは、ほんとうにごく僅かな人材である。氏のスキルのベースになっている構造計算のスキルがないまま、表面的なスタイルを真似をしても追いつくことはできない。

インタラクティブデザインから撤退した理由

氏の代表作のひとつである「FONTPARK 2.0」がでたときに、筆者は一切、インタラクティブデザインから撤退した。HTML5のcanvasタグも手をつけなかった。勉強をしても生き残れる領域ではないからだ。

FONTPARK 2.0は、圧倒的な完成度で、自分がいくら努力してもつくれないと思ったからだ。その前は、私でも三角関数や画像処理のプログラミングを勉強をしていた時期があった。描画モードをコードで書いていた。もともと「FONTPARK」は、ジョン前田さんで、Javaでインタラクティブデザインの作品をつくっていた方である。

インタラクティブデザインのコードをバリバリ書いている人でも、サーバーサイドのスクリプトを苦手にしている場合がある。同じ、プログラミングスキルでもフロントエンド、バックエンド、インタラクティブなど分野が別れていて、要求されるベースのスキルがまったく違う。

言語の文法自体の勉強はすぐにできるが、もっと奥にあるベースの勉強は、時間がかかる。当然、向き、不向きが発生する。プログラミングですら、万能で書ける人はいないの現状である。

自分の強みをみつめて、生き残れる分野を探そう

カイシトモヤさんのデザイン理論書である『How to Design いちばん面白いデザインの教科書』で、グラフィックデザイナーを形成する5つの力がまとまっている。

発想力、造形力、美的判断力、情報力、コミュニケーション力にわけている。氏のまわりの5人のクリエイターのそれぞれの力の分析がチャート化されていて、それぞれ得意、不得意があることがわかる。

グラフィックデザイナーというくくりでも、いろいろな立ち位置があることを教えてくれる。むしろ、万能タイプを目指すより、強み、弱みを自覚して、生き残れるポジションを見つけていくことが、現実的な選択である。

以前、うちのブログの記事で、「何でもかんでも、できることはできない」という趣旨の記事を書いたことがある。数日後、あるブログで批判をされ、いろいろ考えて記事自体を削除したことがある。うちのブログの目的は、独学をする人を支援することにある。やる気や勇気を奪うことではないからだ。特に、20代の人に、何でもできることは不可能だと話しても理解はされない。意識が高い人、やる気がある人は反発するだろう。かつての筆者が、何でもできると勘違いしていたように。

本当は、冷静に自分のベースや強みをみつめて、勉強する分野、生き残りやすい分野を探してほしいと思っている。

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